BACKYARD

毎日、蜥蜴と一緒

拒食時の給餌について、など 

最近続けて古い記事(レオパの拒食と流動食レシピ 2010年9月26日)に関してコンタクト頂きました。

記事を書いてから7年近く経過していますが、その間も時々メールやTwitterやらで言及されることや、嬉しい事に役に立ちましたというコメントも頂きました。
それから時間が経ち、加筆が必要だなぁと思いながらもなかなか手を付けていなかったので、ちょっとだけですが追記しておきます。

流動食と言えばやはり粉末状の人工フードが一番簡単なのですが、上記の記事を書いた当時販売されていたものは主成分がコオロギパウダーや魚粉、お世辞にも嗜好性が良いとは言えない物でした。飼い主でさえ匂いを嗅いでおぅふ、ってなっていたので、そりゃ美味しくなかったんだと思います。
実際うちの連中はその当時あった人工フードは総スカン、無理矢理舐めさせようものならぺっぺと吐き出し露骨に嫌な顔をしていました。その為、本人たちが普段から喜んで食べている虫をメインで流動食の材料として急場を凌いでおりました。

そして2017年の現在では、何種類かの嗜好性の高い人工フードがあり、特に数年前に発売された「グラブパイ」はアメリカミズアブの粉末を主原料としておりこれまでになく嗜好性が高く、お手軽に入手できる昆虫食爬虫類用の粉末人工フードです。

もちろん全員が喜んで食べる訳ではなく、当方ではレオパの嗜好性は60%程度、むしろ雑食性の連中に受けがいいです。
サンエステバン、スベノドトゲオイグアナ、ジャイアントガロティア、ジャイアントゲッコーなどは喜んで食べます。エリマキトカゲの一部も良好に喰い付く個体が居ます。

ですので、苦労して気持ち悪い(ですよね)思いをして虫を擂り潰すよりは、グラブパイを利用して流動食を作った方が現在ではお手軽だと思います。その後残ったグラブパイを普通に消費できるかはそれぞれの飼育動物たちに掛かっていますが(笑)

グラブパイも普通の作り方ですと粘度が高くなりますので、熱湯で練った後に水を足してシリンジで吸える程度まで緩めると良いかと思います。

現在当方も寿命間近で寝たきりで、もう自分では餌を食べられない介護状態の蜥蜴が居ますが、グラブパイをメインとした流動食で命を繋いでいます。

また、急性期で少量でカロリーが必要な場合の為に、こんなものもあります。
海外で獣医師専売品として販売されている、肉食エキゾチックペット用の超高カロリー栄養食です。

日本では犬猫用の超高カロリ―栄養食があり、実際の現場でも爬虫類にも使用されていますし、私も常備して使っていましたが、いずれも乳ベースで出来ており、爬虫類はもちろん哺乳類ではないので乳ベースよりいい物がないかと探して見付けた物で、個人輸入してストックしてあります。

鶏由来の蛋白質が主成分で、哺乳類以外の肉食性のエキゾチックペットに適した成分になっています。
パッケージのイラストが分かり易いですね。

food

残念ながら現時点では私が知る限りでは国内では取り扱いがなく、入手は海外からになります。
これ以外にも爬虫類用の同じく鶏由来成分で出来た超高カロリー栄養食がありますが、同じく国内では取り扱いがないようです。



爬虫類の拒食の原因は様々です。どこか具合が悪い、病気がある以外にも、些細な原因で食べなくなることがあります。
(当方、トカゲとヤモリに絞って飼育していますので、ヘビやカメについては分かりませんが、多分そう変わりはないと思います。)

環境が変わった=温度や湿度が不適、ケージの位置が落ち着かない(飼い主の目線や動線の問題)、季節の変わり目、発情期、餌が気に入らない(種類・大きさ・匂い・掛けてあるカルシウム剤が変わったetc.)、給餌時間がいつもと違う、周りに新しい動物が増えて匂いや音がする、などなど本当に細かいことで拒食のきっかけになることがあります。

一つ一つ心当たりを潰して(一つずつ要素を変更・除去して)行って、原因を探ることになりますが、結局何が悪かったのか分からないままにある日突然バクバク食べ始めて長い拒食と飼い主のストレスがあっけなく終わりを告げることが殆どです。

病気があると思われる場合は出来れば早めにちゃんと爬虫類を診察できる動物病院で受診して、病気ではなさそうな場合は飼い主も余り思い詰めず、余裕を持って見守りながら対処していくのが宜しいかと思います。思い詰めてテンパってしまうと、当たり前の事や違う原因の可能性に考えが及ばなくなり、判断が鈍る事もあります。

受診もそれ自体がストレスになり調子を崩す原因になる場合もあるのが爬虫類ですので、飼い主の判断でプラスマイナスを計算してどうするかになりますが、自分で判断が付かない場合は受診をお勧めします。
普段観察している飼い主の目が一番確かではありますが、動揺して判断力が鈍っている時はプロを頼りましょう。

そして何より、飼育動物の一番傍で見ている飼い主が「何かおかしい?」と思うその微妙な違いが、実は大きな不調の前触れと言う事もままあります。爬虫類(他の動物もですが)が具合が悪そうに見えたら、それは結構不調が深刻になっている場合が多いです。動物は本能でギリギリまで不調を隠します。

私見ではありますが、以上追記しておくべきかなと思った事でした。

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今月に入って、爬虫類飼育を始めた初期から飼育している9歳になるレオパが2匹、老衰で逝きました。もともとの形成不全や拒食や膿瘍が出来て手術したりと色々トラブルのあった個体と、ずっと元気で一度も拒食もせず2か月ほど前まではピンピンしていた個体でした。最後の1カ月程度はどちらも流動食の強制給餌で対応していましたが、それも受け付けなくなり最後は静かに火が消えるようでした。

皆さんの大切な飼育動物が元気で長生きしますように。
自分の記録と飼育動物の可愛さを垂れ流すために書いているこのブログの記事が、検索して辿り着いてくださった方に何か役に立っていれば幸いです。


(あと、餌について「動物虐待!通報しました!」とかいうコメントを送り付けて来るお子様はどうぞママのスカートの中にお帰り下さいね^^)

2017/05/29 Mon. 23:50 | trackback: 0 | comment: 0edit